深夜に読み始めて、途中でやめられなくなった一冊だった。『Another』は以前から気になっていたが、今回上下合本版が1,168円で手に入ると知り、思い切って購入した。単巻で揃えるよりも手頃で、何より一冊で物語の全体を通して読めるのがありがたい。ページをめくる手が止まらないタイプの作品なので、分冊で間を空けずに読める構成は、この話にはよく合っていると感じた。
内容については多くを語らないほうがいいだろうが、閉鎖的な学校という舞台設定と、じわじわと積み重なる違和感の描写が巧みで、派手な恐怖演出に頼らない静かな怖さが持続する。登場人物たちの会話や日常描写が丁寧な分、何気ない一言や光景が後になって不穏に響いてくる構成には唸らされた。綾辻行人らしい、論理的な仕掛けとホラーの空気感が同居している点も、ミステリー好きの読者には刺さると思う。
評価は4.5、レビュー件数は210件とそれなりの数が集まっており、長く読み継がれている作品であることがうかがえる。合本版という形態のレビューもその多くに含まれているはずで、価格面での満足度も評価を支えている要因の一つだろう。電子書籍特有の文字サイズ調整のしやすさも、長編を読み通すうえでは地味にありがたいポイントだった。
強いて気になる点を挙げるなら、上下巻がひとつになっている分、途中で読むのをやめにくく、気づけば夜更かしして読了してしまったことくらいか。ホラーとミステリーの境界を楽しみたい人、綾辻作品に初めて触れる人にも、価格と内容のバランスから入り口として選びやすい一冊だと感じた。
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