『本好きの下剋上』シリーズも第五部に入り、「女神の化身XII」まで来るとさすがに物語の積み重ねを感じます。今作では、これまで積み上げてきた政治的な駆け引きや人間関係が一つの大きな流れに向かっていく印象を受けました。長く読み続けている読者にとっては、ローゼマインを取り巻く人々の立場や思惑が丁寧に描かれているぶん、感情的な読みどころも多かったです。

価格は924円と、文庫のライトノベルとしては標準的な範囲内に収まっており、このボリュームと内容を考えると納得できる設定だと感じました。評価4.8、レビュー件数3480件という数字は、シリーズを通して読んでいる読者がいかに多いかを物語っていると思います。実際、レビューを眺めると「ここまで読み続けてよかった」という感想が目立ち、長期シリーズならではの読者との信頼関係が築かれているシリーズなのだと実感します。

12巻という数字からも分かるように、このシリーズは一冊で完結する話ではないため、途中から読み始めるのはおすすめしづらいです。ただ、これまでの巻を追いかけてきた人にとっては、キャラクターたちの成長や変化がしっかり感じられる構成になっていて、読み応えは十分でした。特に、ローゼマインの選択がこれまでの行動の積み重ねの上に成り立っているのが分かる場面は、シリーズを通して読んできたからこそ響くものがあります。

文章量自体は読みやすく、数時間あれば読み終えられるボリュームですが、内容の密度は高く、一気読みしたくなる引力がありました。次巻への引きも強く、続きが気になる終わり方になっているため、ここで止まるのは少々つらいところです。長期シリーズを追いかける体力がある方には、安心してすすめられる一冊だと思います。