子どもを叱ってしまったあとに自己嫌悪に陥る、という経験がある方には響く一冊だと感じました。本書は「叱ることをやめましょう」という単純な精神論ではなく、臨床心理の専門家である村中直人さんの知見をもとに、そもそも人はなぜ叱ってしまうのか、叱ることにどれほどの効果があるのかを、脳科学や心理学の視点からわかりやすく解説しています。イラストやマンガを交えた構成になっているため、文字だけの専門書に比べて格段に読みやすく、育児で忙しい合間にも目を通しやすい作りになっている点は好印象でした。

内容としては、叱ることで子どもの行動が一時的に止まったとしても、それが本当の意味での学びや成長につながっているとは限らない、という指摘が印象に残ります。読み進めるうちに、自分が叱っていた場面を思い出しながら「あのとき別の対応ができたかもしれない」と振り返るきっかけになりました。具体的な代替案も示されているため、理論だけで終わらず、実際の子育ての場面に落とし込みやすい点も評価できます。

価格は1,430円と、育児書としては手に取りやすい部類に入ると思います。評価も4.8と非常に高く、62件のレビューが寄せられている点からも、多くの保護者に共感を持って受け入れられていることがうかがえます。一方で、すでに子育てに関する心理学の知識がある方にとっては、内容がやや基礎的に感じられる可能性もあるかもしれません。

叱ることへの罪悪感を抱えている方や、感情的にならない関わり方を模索している方にとって、気づきを与えてくれる一冊だと思います。